世界文学全集 2

「要約 世界文学全集 Ⅱ」(新潮選書:木原武一)を読んだ。

この本は「要約 世界文学全集 Ⅰ」の続編だ。この本にも世界の名作31作品がわずか10ページ程度に要約されている。

この名作群の中で一番興味を持った作品は「森の生活 - ウォールデン - 」(ヘンリー・ソロー)だ。

「ほとんどの人間は隣の人が持っているようなものを自分も持たねばならないと考えるために、そうする必要などないのに、一生涯、貧乏でいるのだ」。

この小説が書かれたのが1845年3月、日本はまだ江戸時代だが、有り余るモノに囲まれ、せわしなく生きている、現代こそ彼の主張に耳を傾けるべきだと思う。

「より多く働いてより多く稼ぎ、そしてより多く消費するあるいは浪費することが奨励されている。多くの人が仕事仕事と大騒ぎするが、我々は大事な仕事など何一つしていない。みんな舞踏病にかかって頭を静かにしておくことができないのだ。どうして我々はこうもせわしなく人生を無駄使いして生き続けなければならないのか」と主張するソロー。

思わず唸ってしまった。この本を初めて読んだのは無職時代だった。

朝、マクドナルドから忙しそうに多くのビジネスマンが駅に吸い込まれて行く姿を眺めていた。「あの人たちはこれから会社に行き、上司や同僚とのつまらない軋轢の中で今日一日を過ごすのだろう。自分もかつてそうだったように・・・」。どうでもいい人間関係のしがらみから解放され、自分の立場を噛みしめながらコーヒーを飲んでいると確かに彼の言うとおりだと思って読んだものだ。

私は死んだような人生を生きたくない、生きることはそれほど大切なのだから」と言って湖のほとりに小屋を作り一人人生について、生きるということについて考えるソロー。

私も彼の言うように、いよいよ死ぬときになって、人生のもっとも大切なことが何なのか、自分が自分の人生を生きていなかったことを発見することのないようにしたいものだ。

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