ダイアモンドリング (19)

1991/7/11 (木)

今日は皆既日食の日だ。世紀の天体ショーの観測のため今日は休校だ(私は)。

午前10時20分ごろ太陽が欠け始めた。徐々に太陽が欠けていく。少しづつだがあたりが暗くなり始めてきた。

11時20分ごろ、かなり太陽が欠けてきた。夕立ち前にあたりが暗くなる、そんな感じだ。鳥たちが、これから夜になると勘違いして騒ぎ始めた。そして夜に鳴く虫たちも遠慮しがちに鳴き始めた。みないつもよりも早く訪れた夕方に戸惑っているようだ。

11時45分ごろいよいよ太陽全体が月に隠れようとしたその時、ひときわ太陽が輝く瞬間がある。いわゆる「ダイアモンドリング」という状態だ。白い月の輪郭にわずかに残された太陽がダイヤモンドのように輝くのでこの名がつけられている。

それから約6分間、コロナの光を放つ黒い太陽を見ていた。

あたりはさらに暗さを増した。夕立ち前の暗さをさらに暗くした感じだ。暗い昼の空には星も見える。虫たちも夜であることに確信をもったのか本気で鳴き始めた。私は門の外で夫人と一緒に見ていたが、メキシコ人は全くこの天体ショーに興味がなさそうだ、この暗いなかでも普通に郵便を配っている。

私がSol(太陽)と指さしても、「あ~、知ってるよ」と言わんばかりに‘Si’と言って配達をしている。さすがメヒカーノ(男性のメキシコ人)見慣れているのか?

そして再びダイアモンドリング、今まで暗闇に目が慣れていたせいか、先回よりダイアモンドの輝きがまぶしく感じる。

そして徐々に太陽が元の形に戻ってきた。虫の音もいつのまにか聞こえなくなっていた。

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