神様 ありがとう!(47)

92/1/5 (日)

(続き)

いよいよ腕時計を売るか、カメラを売るかしてお金を作らなくてはと考え始めた。

所持金40ドルしかない私にとっては、どうすることもできなかった。

大使館に電話するか?しかしここはメキシコシティーではない。しかも電話番号も分からない。さらに日曜日だ。

自らの資金管理のなさを後悔したが、後悔しても今の現状を変えることはできない。

万策尽きた。もうどうすることもできない。残るは神に祈るしかなかった。「神よどうぞ助けて下さい・・・・」

すると誰かが近寄ってきた。私は椅子に座って下を向いていたので、足が見えただけだが。

そして話しかけてきた。私は顔を上げ彼が言っていることを聞いた。はじめ何を言っているのか理解できなかったが、どうやらチケットを買ってくれと言っているようだった。

「え~なんで、俺なの。」周りを見ればメキシコシティーに帰れないで困っている人がたくさんいるのに。とにかくチケット売り場まで来てもらい、そのチケットが本当に今日使えるのか売り場の人に聞いてみた。答えはOKだった。

すぐにその青年からチケットを35ドル(もちろん現地通貨のペソだが)で買った。話を聞くとメキシコシティーに行く予定がキャンセルになり、チケットを誰かに買ってもらいたかったそうだ。何で私を選んだかは聞かなかったが。

このときの出来事は強烈に私の記憶の中にあり、今も忘れることができない。祈りをはじめたらすぐにその祈りがかなうなんて。しかもあの絶対絶命の状況で・・・・。

神の存在を感じざるおえなかった。

そんな大袈裟なと思われるだろうが、異国の地で無一文になることを想像してみていただきたい。お金しか頼ることのできない世界で、お金がないという恐怖を。

日本でなら親、親戚、友人、警察などの公的機関があるので何とかなるという安心がある。しかしまったく異国の地、誰も頼る者のいない地、言葉もよく分からない地でお金がないということがどれほどの恐怖か。

とにかくこれで帰ることができる。よかった!

1801

91/12/30  3-

日曜日なので、逆指値注文はそのままだ。

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