アメリカ大陸の旅(7)

ラスベガスに来て感じたことがある。

それはカジノ業者の思考方法は、我々株トレーダーの考え方と似ている点だ。

例えばブラックジャック。ブラックジャックではカジノ側がプレーヤーに対して、約4.5%の優位性を持っているという。この優位性の根拠は、プレーヤーが順守しなければならないルールにある。

この平均4.5%には大勝をして帰るプレーヤー、大負けするプレーヤー、その間のだれしもがすべて計算されている。それでもその日、その週、その月の終わりには結局カジノ業者は賭けられたお金の総額の約4.5%を利益として出していると言う。

4.5%と言うと大した額に聞こえないかもしれないが、考えてみてほしい1年間カジノにあるブラックジャック台で総額100億円が賭けられたとしたら、そのカジノ業者は4億5千万円の純利益を上げるのだ。

個々のプレーに注目すれば勝ち負けの分布はランダムで予測不可能であるが、そのプレーの回数が定数に達すれば、そこから現れるパターンは一貫し、予測可能な統計的に信頼できる結果となって現れる。そのことをカジノ業者とプロのギャンブラーは知っているのだ。

これは株トレードも一緒だ。十分な数の売買をこなせば、誰であれ優位性のあるルールをもったトレーダーの成績は負けよりも勝ちが増える。自分に優位性が十分にあり、標本の大きさが十分であれば、最終的には勝利すると常に分かっているのだ。

そのため非現実的な期待に苦しまなくて済むし、常に楽な気持ちで自分の勝算の維持と完璧なトレードの実行にのみ意識を集中できるのだ。

ここラスベガスでは、客に意図的にカジノをさせようとしているように思えてならない。それはホテルの部屋からレストランに行く時や外から部屋に戻る時、必ずカジノを通らなければならない構造になっている。これはギャンブルに興じる機会を、意図的に増やしているからではないだろうか?

カジノ側にとっては、一分でも一秒でもカジノをして欲しいのだ。部屋のなかにいるお客を“魅惑的なショーやアトラクションという餌”で引きずり出して、ギャンブルをやらせる。それがカジノ側の戦略のようだ。

そう考えるとカジノ側がもっとも嫌がるのが、客がホテルの中でくつろぐことだろう。ラスベガスのホテルの部屋が、あまり居心地がよくないように作られているのはそのためのようだ。

さすが戦略国家アメリカ!

客は何も知らずにそんなカジノ側の戦略に乗せられて、ギャンブルに興じているのだろう。ここラスベガスはいろいろなことを教えてくれる。


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