株トレード

相場(というより金融全般)の世界には、かの悪名高い「まさか」という、坂道があります。

ふつう、「魔坂」と書き、「まさかあの株が」とか、「まさかここまで下がるなんて」と、人々に悲鳴を上げさせながら、もはや転がることしかなくなってしまう魔の坂道です。

人生も同じ事さ、と思われるかもしれませんが、金融の世界、ほとんどこの坂道だけで成り立っているといっても過言ではありません。

人生には時々、小春日和の秋桜(コスモス)街道などもありますが、金融の世界は常に坂道です。

何故かといえば、本来金融というものが、実業に対する虚業の世界であり、陰画の世界であり、ネガであり、影であり、負の世界であるというところから来ています。

実業の世界では、明るく、行動的で、人脈が広く、シャープな頭脳、素直、思いやりなどなどなど、いわゆる、陽性な人々が成功していきます。(例外的な事例は常にありますので、無視します)

世の中の80%は、そういった人々の天下になっています。

しかし人間には、どうしても陽性になれない人もあり、また他人と同じなのはイヤダとか、偏屈、ひとみしり、なまけもの(私はこれです、超、がつきます)その他、いわゆる陽の世界から、はじき出される人々がいます。

そこで神(火水)様は、ちゃんとそういった人々のための世界を、20%用意してくださったのです。

それが文学、絵画、音楽、映画、そして宗教、(本物の)学問、等といった世界であり、あるい は発明発見、ファッション他、何らかの創造に関わる世界であり、実は金融の世界もこの領域に属するのです。(銀行員や証券マンや保険のおばちゃんは、単なる事務員ですから除きます)

明るく、成績優秀、スポーツマンの好青年、家庭は裕福両親円満、といった青年は、人生に2 度来る軽い失望と1度の深刻な挫折を乗り越えられさえすれば(最も、彼等は挫折に弱いところがあるんですがね)、80%の世界で確実にステップアップしていくことでしょう。

しかしそんな彼が、もし小説を書きたいなどという願いにとりつかれたとしたなら(現実には余りありませんけれど)、彼の幸福な人生経験は、最悪な経験に凍りついてしまいます。

小説を書くには、逆に、イジメ、登校拒否、両親の離婚などの不幸な経験が、正に至福の経験へと昇華されるのです。

相場とは本来、実業の世界の日の当たる坂道から締め出された人々が、その恨みを込めて 孤独な戦いを挑む、ルサンチマンの戦場なのです。

そうした意味では新興宗教と似通ったところもあり、かの有名なOクラブが元来宗教の仲間であったことや、また、ご存知、究極の相場師E氏が、商業高校出のうだつのあがらないサラリーマンとしてついに一度として役職にはつけなかったことなどが、いみじくも実証しているといってよいのです。

金融の世界は実業の世界とは180度異なった法則のもとに成立している世界なのです。

「魔坂」とは、実は「真逆(まさか)」であり、実業の世界の常識の、逆こそが真である、という世界なのです。

ー 歩く銀杏 (5) 番外より ー

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