相場物語(2)

<引用ここから>

* 相場物語(2)

N・ドレマンという人が、どのような経歴を持つのか、私は知りません。 しかしその冊子の片隅で、彼は「時流に乗るな」と道を示してくれていたのです。 以下、彼の言葉、

「市場と調和して一緒に行動したり、証券関係者の意見に同意、感激して行動を共にしないことである。 優良会社や成長会社に夢中になることもやめるべきである。 これらの誘惑をさけるためには、かなりの精神的忍耐が必要である。上昇相場において、時代の脚光を浴びている銘柄を買いに行くことは魅力的行動だからだ」

彼はさらに続けます。

「現代人は何でも専門家に頼るようになってきたが、相場で成功しようとする人は、孤独に耐 えて、冷酷であらねばならない。
確かに、短期的には人気株の方が不人気株より値上がりするだろう。 低迷相場で株を買えば、人は向こう見ずだと思うだろう。また人と逆の意見を述べれば、他の人々はつまらぬと思うかもしれない。 なぜなら、まったく他の人と逆の行動であるからだ。 その戦略からはエキサイトするようなものは何もない」

その戦略からはエキサイトするものは何もない、ここが、たまらなく好きです。

「相場の動きを予想して売買を効率的にする方法は、多くの投資家にアピールしている。もしうまくできれば投資実績はよくなるが、現実にはなかなか難しい。 もし、投資家が相場の方向を間違えば、長期保有より悪い結果になる。 私は素晴らしい何人かのファンド・マネージャーを知っているが、彼らの銘柄選択は非常にすぐれているが、しばしば相場の方向を間違えることがある。
保守的な投資家は相場タイミングをやめるべきである。 ただ組み入れ銘柄が値上がりして市場平均以上のPERとなった時には、売っておいた方 がいい」

私の新しい出発は、この時点で決定されました。 私はその冊子を手にすると、ドレマンのページを数枚こっそりと破りポケットに入れて、転がるように証券会社を飛び出しました。それがまさか自らの人生を、根底からくつがえしてしまうことになろうとは、そのときの私はまだ夢にも思いませんでした。

<引用ここまで>

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