誰も書かなかった株式投資(参)

<引用ここから>

* そしてそれから(3)

株式投資本を手にしたとき、あなたはまず真っ先に本の後ろを開いて確認しなければなりません。 それは後ろのページに、「問い合わせ先」が記されているかどうかという事です。

勿論例外は常にあるのですが、「先へお問い合わせ下さい」などと書かれてある場合、かなりの確率で、 投資顧問や投資ソフト等の勧誘を目的とした「客寄せ本」の可能性があります。なれて来れば著者や出版社で見分けられるようになりますが、初心のうちは、これが最良の見分け方です。

勿論、一概に「客寄せ本」のすべてが悪いというわけではありません。彼らもとにかく商売をしなければいけませんので、意外と初心の方にも易しく解るように書かれている本も多く、基本的な知識を身につけるには、四角張った本よりも読みやすいものです。

しかし絶対に、書かれてある利益的な部分は、信じてはいけません。あなたが魅力を感じ心そそられる部分が多いほど、その本に盛られたウソの量も又多いといえるのです。

こんなことを細かく書くのもバカらしいので簡単に触れるだけで止めておきますが、彼らもさすがウソのプ ロ、そのウソには実に巧妙な仕掛けがされており、代表的なのは、真実を語ることによってウソをつくやり方です。

つまり、「言うは小ウソ、言わざる大ウソ」というやつで、真実を語っていながら真実のすべてを語っているわけではない(都合の悪いところは言わない、相場で言えば儲けを騒いで損には沈黙、というおきまりのやつ)という、子供の得意とするウソと同じパターンです。

最近はなかなか手も込んできて、単に成功話だけではなく、そこそこ損の話も混ぜながら、かなりリアリ ティーのある内容になっていますので、とりわけ初心の方々は注意が必要です。

私のところにもどこで調べるのかこれまで本6冊プラスビデオ2巻が、頼みもしないのに送りつけられてきました。そんな苦労までしてウン十万円を稼がなくても、彼らの言う通りなら相場でチョコチョコッと動きまわれば、すぐにそのくらいの金額わけもないと思うのですが、どういうことなのかおわかりですね。

ウソのつき方は、所謂子供のウソ4か条をそのまま使っていて、子供はウソをつく以外にわが身を守る 手段を持ちませんから仕方ないのですが(しかも子供のウソは、想像力と創造力の源泉になりますが)、 子供のウソと同じ大人のウソは何かうら寂しく、しかもそれにまんまと乗ってしまう大人達のいる風景は、 荒涼としたうすら寒さを覚えずにいられません。

こんな下らない話はこの辺でやめておきましょう。ともかくもつまるところ、そういうことだということなのです。

(それにしても、幼少のみぎり、私が熱中したこと2つ、いかに上手にホラを吹くかと勝率7割のじゃんけん必勝法、なんと嫌な子供だったのでしょう。 そのときのまま、いたずらに齢(よわい)のみを重ね大人になってしまいました。 じゃんけん必勝法の研究が、相場の工夫に変わったことだけ、あな侘し)

もっともだからといって、相場の世界をいたずらに恐れる必要はありません。 どんな世界もこの手の話に溢れかえっており、相場の世界も単に、その一部であるに過ぎないのですから。
「客寄せ本」に関していえば、多いのは健康、医学、美容、教育、宗教、自己啓発などで、もしかしたら 「不安産業」という括り方が出きるのかも知れず、それならば相場など、正にその典型だといえるでしょう。

さて、まともな話に進みましょう。株式投資本を以下のように種別分けしてみます。

ア、初心者向きの基本的な知識を書いた本
イ、日本経済や株式市場の今後を展望し、有望な業種や銘柄を取り上げた本
ウ、独自の投資手法を公開し、解説した本
エ、投資に関する心構えや格言など、実践の途中における注意事項を、主として心理面に重きを置いて 書いた本
オ、その他

勿論、実際はこのようにはっきりと分けられるわけではなく、イとウ、ウとエといったように、重なり合って書かれていることが多いようです。

しかしいくらなんでもこの分類では、「誰もが書いている株式投資」になってしまいます。 そこでこの「誰も書かなかった」シリーズでは、以下のように分類してみたいと思います。

0、情報は知識ではない
1、すぐに役に立つ情報は、すぐに役に立たなくなる
2、役に立ちそうな情報は、なかなか役に立たない
3、役に立ちそうもない情報は、まったく役に立たない

なんだ、それではまったく役に立たないではないか、と思われるでしょう。
そうです、「投資本」なるものは、まったく役に立たないのです。
ただ寝転がって、読んでいる限りは。

その役に立たないものを、役立つようにするには、そこに新たな認識と方法論が必要になってきます。しかもその認識と方法論は、1と2と3とではそれぞれ異なっているのです。

そのことについていよいよ解説を始めたいと思います。勿論「誰も書かなかった」こと、皆さんが初めて知る人々になりますが、果たして納得されるかどうか、どうでもいいけど。

序文がようやく終わり、いよいよ本論が(ホンの入り口ですが)始まろうとしています。
ただし、面白くなってきたぞ、と喜んでいるのは筆者ただ一人きりなのかもしれません。
それもまた、いい日旅立ち、きっと人生は風に似ている(久しぶりに)ムムム。

(以下次回)

<引用ここまで>


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