歩く銀杏(9) 前編

歩く銀杏(9)も長文のため前編・後編に分けさせていただいた。

<引用ここから>

* 前回からの続き

前回私は、二つの欠落について、予告しておきました。

今回は当然、その話から始めなければなりません。

まず一つ目は、前回挙げた原則のラインアップに、決定的に欠落しているもので、この視点を持たないことは恐らく致命的ではないか、とさえ思われるものです。

それは、あなたが今「人生の並木道」(この歌、知っていますか?)の何処を歩いていて、 その地点から株式市場の森がどのように目に映り、どのような風の歌を聴き、どのように樹木のささやきを感じるか、と言う視点です。

“簡単に言えば、20代には20代の株式投資のやり方があり、30代には30代の、40代には40代のやり方があり、それらはそれぞれ異なっているのが当然である、という事です。

自分が今人生のどの年代にいて、その年代に要求される主要な消費性向は何であり、その年代に蓄積すべき資産はどの程度であり、その理想を実現するための株式投資のやり方というものはどのようなものなのか、と考えれば、 株式投資というものが、単なる「上がる銘柄」と言う青い鳥探しのゲームではない、実に奥行きの深い、多くの可能性を秘めたものであると言う認識を持たれるのではないでしょうか。

青い鳥を追いかけて森に迷いこんだチルチルとミチルを待っていたのは、散る散る資産満ちる損、でしかありませんでした。

そして二人は、本当の青い鳥は、日常の何気ない日々の営みの中にこそいるのだ、と気がつくのです。

私は主に若い初心の投資家でありながら、天才的な触覚を持って私のメッセージを感じ取り得る人々に向けて書いているつもりですので、例として20代の若い人々の株式投資について生意気なこと言わせていただけるなら、あなたは何よりもまず、自らの拠って立つ生活の基盤をしっかりとして、その年代にふさわしい節約をして貯畜をして、少しずつ資産を増やしていかなければなりません。

いずれ詳しく説明したいと思いますが、20代で株で儲け様などと思ってはなりません。 たとえ儲かったとしても、27歳までに分不相応に儲けたお金は必ずなくなると言うのは、 人生の法則第3項の動かしがたい真実なのです。

20歳そこそこで売れたアイドル的な芸能人が、その後お金に苦労している話と言うのは正に巷に溢れかえっており、それらはすべてこの法則の故なのです。 勿論、株式投資をしてはいけないと言う事ではありませんから、くれぐれも誤解の無いように。

20代で株式投資をするというのはかなり特殊なことであり(今は違うのかな?)、そのことであなたは、オレはちょっと違うんだぜ、と言う自信が持てるはずであり、それは持ってもいい自信であり、その自信はあなたの日常生活に必ずやよい方向で働くに違いありません。 (但し、薄っぺらに人に話してはいけませんよ)

しかし間違っても、あなたは儲け様などと思って株を買ってはいけない。(最もそのほうが儲かってしまうんですがね)

あなたが買うのは株であって株ではなく、それは退屈な日常にポッカリと灯される未来へ の希望、「夢」を買うのでなければならないのですから。

株を買うのではない、「夢」を買うのだと考えたなら、日々の価格の変動に、何一喜一憂することがあるでしょうか。

あなたの「夢」は、そんなにもちっぽけなはかないものでしかないのでしょうか。

そして、「夢」を買うのであれば当然そこには「夢」の買い方というものがあり、それは40代 の「現実」を買う株式投資とは、異なって当たり前なのです。

勿論、「夢」を買う、といっても、優良株や小型成長株を買え、と言っているのではないです から、(相場は、そんな単純なものではありません、常に歪んだものなのです)お間違え無きように。

とまあ、(私のまったくの独断による)20代の株との関わり方のホンの緒口(いとぐち)を書いただけでこれだけ長くなってしまうのですから、この話は、 3) 山と森と川と町と、そして空のある心象風景 で、じっくりと書きこんでみたいと思います。

ただできれば一度、自分の年代にとって株式投資がどのような意味合いを持ち、どのような位置を占めるのかについて、かんがえて見られたらいかがでしょうか。 その上で、私の考える 3)を批判的に読まれれば、株式投資に関する認識が新たにされるかもしれません。

実は私たち中長期投資家にとって株で生活をしていくと言うことは、資産を増やす、ということなのです。 超短期投資の方々は毎日にように○万円儲けた損したと、いわゆる日銭が入りますが、 私たちにはそれがありません。

つまり、仮に5000万円を、東証1部、貸借、中低位、中小型銘柄に30銘柄投資した場合、1日につき、30万円~300万円、平均100万円の評価損益が出ます。

1ヵ月に19日立会いがあるとすると、10勝9敗(わずか1日の勝ち)で100万円の評価益が発生し、それで生活していくことができるのです。

勿論これはあくまでも机上のイメージでしかありませんが、しかしこのイメージをたどり着く べき終着駅として、とりわけ若い人々には心の中にしっかりと植え付けておいていただきたいのです。

しかもあなたのこの5000万円は、すでに相場の波に洗われ、市場の洗礼を受けたお金ですから、実業の世界で成功した人々が持ちこむ、○億円のお金に、決して引けを取ることのない、否、それ以上の力を発揮するお金なのです。

一億円を目指しての攻防戦こそがあなたにとっての関が原であり、それ以前のゴミのような勝利に決してはしゃいではいけません。

何はともあれ100万円、ついで300万円、1000万円と資産のハードルを少しずつ飛び越えながら、その恐怖の質量と孤独の引力に耐えられる強靭な精神力を、徐々に養っていくようにしなければならないのです。

<引用ここまで>

(つづく)

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