リーダーとは

昨年のNHK大河ドラマは「真田丸」だった。とても面白く見ていた。今も録画したものを時々見ている。

とくにお気に入りの回は、第43話「軍議」だ。

軍議の席で、「誰もが本心では徳川の大軍に勝てるはずがないと思っているはずだ」と言い放った後藤又兵衛。

それはそうだろう。今や徳川と戦うことは「日の本」を相手に戦うことと同じなのだから。

又兵衛自身も本心では天下の大坂城で華々しく死ぬことを目的に集ったのだった。

しかし、そんなおおかたの思いとは逆に、真田幸村だけが本気で勝とうと策をめぐらしていた。

その幸村の「本気さ」に感化され、皆が一つにまとまっていく。

これを見て、昔見た「キャプテン」を思い出した。

私が小さい時には、漫画はもちろん、アニメも欠かさず見たものだ。

いまだに多くのファンを持つといわれる、この漫画(アニメ)。

この漫画には魔球もなければ、天才もいない。いるのは、夢に向かって努力を惜しまない、泥臭いリーダーと、そのリーダーを信じ夢に向かって共に努力する部員たちだけだ。

私が見ていて気がついたのは、次の二つのことだ。

「正しい努力を継続するならば、その努力は必ず報われる。」

「あるべきリーダーの姿とは。」

こんなシーンがある。

順調に勝ち続けた主人公谷口がキャプテンをつとめる墨谷二中は、決勝で名門青葉学院とあたることとなる。青葉学院出身の谷口(当時2軍の補欠だった)は下見に、部員を連れていく。

しかし中学生離れした、その青葉学院の選手の技量に部員たちは度肝を抜かれる。意気消沈して帰った部員に、谷口キャプテンは青葉学院戦に向けて猛特訓を始める。

そう、彼はあの青葉学院に本気で勝とうとしているのだった。力の差を見せつけられて誰もが「勝つ」などと夢にも思えない中で、唯一キャプテンのみが本気で勝とうと言うのだった。

連日対青葉学院に向けて猛特訓が続いた。

連日の特訓があまりにも厳しいことに、堪りかねて練習後キャプテンの自宅に直訴に訪れる部員たち。

しかし部員たちの本音は、こんな辛い特訓をしたところで青葉学院に勝てるはずがない、それがキャプテンには分からないんだ。どうせ負けるのだからこんな猛特訓をしなくていいではないかという思いだったろう。

彼は父親と近くの神社に行っていないという。部員たちはその神社に訪れ、そこで信じられない光景を目にする。

それは部員たち以上の猛特訓をしているキャプテンの姿だった。昼は部員たちの練習で、自らの練習ができないため、夜猛特訓をしているのだった。

そんなキャプテンの姿を見て、改めてキャプテンが「本気」なのだと悟る。

部員たちは自らを反省し、負けたっていいではないか、今自分のできる最大限の努力をしようと誓いあうのだった。

このようなシーンが随所にある。見せ場であるはずの試合の場面よりも、影の努力、前向きな考え方、最後まで諦めない精神、部員を引っ張るキャプテンシー、キャプテン引き継ぎのポイントなど地味と思える裏方の方が面白いという不思議な漫画(アニメ)だ。

機会があれば、是非見られることをお薦めする作品だ。

スポンサーリンク
スポンサーリンク




スポンサーリンク