相場の思い出

今回の大暴落を受けて、ネット証券の口座開設が増えているそうだ。

思えば、私がネット証券に口座を開設したのもITバブルがはじけ、株価が大きく下げた時だった。

私が相場を始めたのは2000年、千葉県市川市で武道の師範代をしていた30歳の頃だ。

指導をしていたのでそれなりにお金は入っていたが、それだけでは生活できず、指導する傍らアルバイトもしていた。

そんな時、ある師範が株をしていることを知った。

株で利益を上げられれば、アルバイトなどせずとも大丈夫だというのだ。

当時、すでにインターネットが普及し証券会社の口座を開くのは、必要書類を提出するだけと簡単になっていた。

初めて口座を開いた時のことは今でも忘れられない。「これでアルバイトしなくてもお金が得られるぞ」とかなり勘違いしていたものだった。

因みに初めて開いた口座は日本オンライン証券(カブ・ドットコム証券)だった。

2000年は記憶にある人もいるかもしれないが、ITバブルの時だ。

ソフトバンク(9984)を筆頭に光通信(9435)、NTTドコモ(9437)が高値を更新し続けていた。

しかし4月に入り急降下、その時を境に下げトレンドが始まった。

私が株の世界にエントリーしたのは2000年6月ごろだったので、ITバブルが崩壊し下げの一時的な戻し(自律反発)の時だった。

私が初めて買った株は、トーヨーカネツ(6369)だった。確か「ZAI」という株の月刊誌で推奨していたのだと思う。

値段も115円と、何とか買うことができる金額だったのでこれに決めた。115円と言っても1000株単位なので115000円必要だ。

当時、すでに結婚し子供もいたので、この金額を株に使うのはかなりの勇気が必要だった。

買った株は初めの1~2日は思惑通り上昇していた。

含み益が1000円増えただけで有頂天になった。なにせ全く働かないで1000円ものお金を得ることができたのだ。

多くの人がそうである様に、私も興奮せずにはいられなかった。

次の日にはさらに2円上昇していた。これで3000円の儲けである。こんなに簡単に儲かるなら借金してでも、もう1000株買えばよかったと後悔したものだった。ここに魔が潜んでいるとも知らない私であった。

しかしその後上昇は止まり株価は下げに向かった。今まであった含み益はなくなり損益表にはマイナス3000円という数字が表示された。含み損である。

つい先日までのうきうき気分はすっかりなくなってしまった。何も物を買わないのに3000円損したのである。

その後含み損は5000円、8000円、10000円と広がっていった。

(続く)

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