仕事が始まって、早いもので5か月が過ぎた。
今の職場は、今までの職場では考えられなかったことが起こる。
仕事中にタバコを吸う人もいれば、スマホのイヤホンをつけながら仕事をする人もいる。
初めは戸惑ったが、今はすっかり慣れてしまった。
仕事は夕方5時きっかりに帰れ、残業はめったにない。
とても温い職場と言える。
しかし、溶接、製缶の技能はかなり高い。溶接による歪など、難なくハンマー1つで直してしまう。
これからも溶接をする私にとって、歪を直す技能は是非とも修得しておきたい。その他にも被覆アーク溶接やドリルの研磨なども修得したい。
お金は稼げないが、いろいろ学べて、よい職場だと思っている。
しかし、私が良いと思った職場は、たいてい長くは生き延びられない。
こんな会社があった。
斫(はつり)という仕事をしていた時だ。
斫とは建設現場でコンクリートで作られた壁や土間などの構造物を壊したり、形を整えるために表面を電動ノミで削ったりする仕事だ。10時と15時の休みは30分あり、仕事はきつかったが、自分のペースでできて結構気に入っていたものだ。
さらに1つの現場(だいたい3ヵ月)が、終わると次の現場まで2~3週間の休みがとれ、その期間を利用し、韓国やタイなどに旅行に行っていたものだった。
その時は会社の寮に住んでいたのだが、旅行から帰ってくると、社長がお金を持ってどこかへ行ってしまったと言う。前々から給料が滞り、ちょっと不安を感じていたのだが、現実になってしまった。なんとかその月の給料はでたが、継続は不可能とのことで、辞めることになってしまった。
そんなことにならなければいいのだが・・・・。
しかし、今のままではこの会社も長く続かないだろう。
前の社長の奥さんの、現社長もすでに67歳だと聞く、後継者はいない。
会社の支柱とも言えるベテラン組のうち、2人はすでに65歳だ。もう一人は今年定年だ。
彼らが働けなくなったら、我々若者2人で会社を切り盛りしなければならい。しかし我々の技能では、ベテラン連中の仕事と同じことは到底できない。
我々若者がもっと努力をし会社を継続させれば、いいではないかと思われるだろうが、生憎そんな熱意と情熱は持ち合わせていない。
来年、再来年には会社を畳んでもおかしくない中で、私にできることは他の会社でも通じるよう技能を伸ばし、失業生活に向けて準備をすることだけだ。