明日土曜日は、会社のカレンダーで仕事と印がついているので、仕事だ。
暇のなのだから、休みにすればいいのにと、皆言っているが、そうはならいようだ。
しかし、社員の何人かは有給を使って休みを取るようだ。
社長も、娘さんの旦那さんが中国赴任から帰国するとのことで、会社を休むと言っていた。
「中国赴任か、いいな~。」
私も日本企業の海外駐在員になることが夢だった。
そのために英語を勉強し、スペイン語を勉強し、韓国語も勉強した。
しかし、今まで一度も仕事で海外に行ったことはない。会社で英語を使うこともない。
「どうしてこうなった。私の人生、どこで間違ったんだ?」
溶接の仕事をしながら、そんなことを考えていた。
この会社で仕事を続けても海外には行けないだろう。もう50歳になる私が、仮に転職しても海外駐在員になるのは無理だ。
「私の人生、どこで、どうすればよかったんだ?」
そんなことを考えていたら、だんだん気分が暗くなってきた。もう取り戻すことのできない時間を、悔やんでも仕方ないのは分かっているが・・・。
「あの時、ああすれば、こうすれば、私の人生は変わったのではないか?」
どんどん気分は沈む一方だ。
そんな時、ある言葉が、心にフッと浮かんだ。
「やったらいいじゃん」
「そうだ!俺は何をグダグダ考え、落ち込んでいるんだ。海外駐在員だって、結局は仕事をしに、海外に行っているのだ。遊びに行っているわけではない。会社の命令で24時間、拘束されいるようなものだ。」
「中国なんて、今、新型肺炎で問題になっているではないか。明日会うと言っていたが、大丈夫なのか?」
「中国人の従業員を管理するだなんて、考えただけでゾッとする。」
海外で仕事をするのは思ったほど、やさしくはないのだ。
考えてみれば、私はこの会社を、いつ辞めてもいいのだ。
老後資金とは別に、1年働かなくてもいいだけのお金は、すでに貯めた。もしお金が必要になたったら、また働いて稼げばいいだけのことだ。
50歳でも稼げる、“溶接”の技能と資格は持っているのだから。
家族のことなど考えず、海外に行って思いっきり遊んでこようかな。そう言えば、ちょうど来月タイに行く。
朝からビールを飲んで、ジェントルマンズ・クラブに行って、思いっきり遊んでこよう。夜はゴーゴーバーに行って、バービアにも行こう。
会社のために働くなんて、まっぴらごめんだ。自分のために、自分の欲望のためだけに、お金を稼ぎ、使うのだ。
「もう来年から海外長期滞在に行こうかな。」
と思い始めたら、気持ちが楽になった。