私が派遣社員で働いていた時の派遣先会社にはヴェトナムから来た研修生が多かった。
彼らヴェトナム人と流暢にヴェトナム語で会話を楽しむ派遣先会社の社員さんを見ていたら羨ましくなったものだ。
今私が学んでいるタイ語とヴェトナム語を比較するとまったく違うのにがっかりしたのを覚えている。
タイ語は伝統的な文字を使うが、ヴェトナム語はアルファベットを使う。同じ東南アジアの言語なのだから、少しくらい似ていて欲しいところだ。
これではタイ語を学んでもタイ国でしか使えないではないか。(実際はラオスでも少し通じるとのこと)
そう考えてみたらスペイン語は便利な言葉だ。
ヨーロッパのスペイン国はもちろん、中南米のほとんどの国で使用可能だ。さらにポルトガル語圏でも使用可能だ。
スペイン語を話せればかなりの国の言葉をしゃべれることとなる。
若い時に必死に勉強してよかったと思うのだが、今は残念ながら使う機会がほとんどない。
これらスペイン語圏の国々は、ちょとやそっとで行けるところではない。一番近いメキシコでも最低20時間は必要だ。
使う相手と言えば会社にいるペルー人くらいだが、面倒なのであまり使わない。
しかしスペイン語よりもさらに話されているのが、英語だ。英語はもう世界語と言っていいだろう。
タイ・パタヤのバービアやゴーゴーバーでも英語が共通言語だ。英語ができれば海外の観光地ならだいたい問題ないだろう。
しかしこんな便利な英語もローカルな場所に行った途端、ほとんど通じなくなる。
今でも忘れらないことがある。
かなり英語に自信をつけてアメリカ合衆国を旅していた時、時間があったのでお隣メキシコの首都メキシコ・シティーに足をのばし、あるローカル・レストランに入った時のことだ。
ウェイトレスが注文を聞きに来た。
私は喉が渇いていたので「ウォター・プリーズ(水ください)」と言った。
しかしウェイトレスはまったく理解できないようだった。
私のクィーンズ・イングリッシュでは通じないのかと思い、アメリカ英語の巻き舌で言ってみた。
「ワーラー・プリーズ」
しかし相変わらず、彼女は理解できないようだ。
「え!なぜ!水も分からないの?」
スペイン語で水を何と言うんだと持っていたスペイン語会話集で調べるとアグアだと言う。プリーズにあたるのがポルファボール。
「アグア・ポルファボール」と言ってみた。
すると彼女はすぐに水を持ってきてくれた。
ショックだった。お隣の国なのに「水」がわからないなんて。
それから一旦日本に帰国しお金を貯めて、今度は本格的にメキシコにやってきた。中米では意外にも英語が通じない、それは南米も同じだった。
英語が世界共通言語であることは間違いないが、それは知識層や観光地での話だ。ローカルな人たちは英語を理解できない、それは日本でも同じだろう。
リタイヤし外国に住むようになったらその国のローカルな人たちと話す機会が多くなる。そのためにはどうしても現地語を話せる必要がある。今タイ語を勉強しているのはそのためだ。