王様の土地

先日、妻がこんなことを言った。

私には2人の妹がいるが、2人とも結婚して新しい家を買った。上の妹は首都圏にマンション、下の妹は地元に一戸建て。

「いいな~、妹さんたちは自分の家を持っていて、この家はあなたの両親の好意で住まわせてもらっているようなもの、私も私のものと言える家が欲しいな。」

そんな妻に私はこう言った。

「何言ってるんだい。妹たちは家を所有していないよ。ローンを組んで買った、あれは銀行のものだよ。もしお金を返済できなかったら、すぐに追い出されるんだから。その点、親が退職金で建てたこの家は、確かに今は父親のものだけど、ゆくゆくは俺のものになる。家の借金返済のために人生を過ごすのと、無借金で人生を過ごすのとどちらがいいの?」

こう言うと妻も言葉に窮していた。

35年ローンで買った家は、35年間は銀行のものだ。買った人は金利を上乗せして銀行に借金を返済する。2千万円を35年間で返済すると金利1.2%で2.45千万となる。

450万円余計に払うこととなる。

そして35年の借金を返済した後、やっと資産価値0円の家を購入できるのだ。

まだ一戸建ては土地の価値があるからいいが、空間を買うマンションは土地代はのこらない。その割には、修繕費に毎年お金を払わなければならないが・・・。

しかし、それほど苦労して買った家も、実は永久に自分のものにはならない。

英語で不動産のことをリアル・エステート(Real Estate)という。ここでのRealの意味は「本当の」、「真の」ではなく、英語Royalの元となった単語で、「王様の」という意味だ。

Estateとは、土地や財産という意味。

つまりReal Estateとは「王様の土地」という意味だ。

土地は王様の所有物であり、それ以外の人たちは王様から土地を借りて利用する権利を持っているにすぎないのだ。

それは過去の話ではない、今現在もそのシステムは変わらない。

確かに登記簿上の名前はあなたかもしれないが、もしあなたが10年間固定資産税を払わずに海外に行っていたらどうなるだろうか?

その土地は本来の所有者のもとに戻るはずだ。

すなわち政府に没収されるということだ。

私たちは銀行から借金して家と土地の使用権利を買い、銀行に借金を返済しながら、国にも借地代を払っていることとなる。そして銀行への借金を返済し終えた後は、国への借地代を永遠に払い続けるのだ。


スペイン・アランフエスの王宮

スポンサーリンク
スポンサーリンク




スポンサーリンク