ルサンチマンの戦場

実業の世界では、明るく、行動的で、人脈が広く、シャープな頭脳、素直、思いやりがあるなどなど、いわゆる陽性の人々が成功し、こういう人たちの天下になっている。

しかし私のようにどうしても陽性になれない人間もいる。他人と同じなんて絶対嫌だ、偏屈、人見知り、怠け者、仕事が続かないなどなど、陽の世界からはじき出される人々だ。

しかし神はそう言う人々のための世界をちゃんと用意していて下さっている。それが芸術・文学の世界であり、宗教の世界であり、何らかの創造に関わる世界である。実は相場もこの領域に属する。

明るく、成績優秀なスポーツマン、家庭は裕福といった青年が、もし小説を書きたいなどという願望にとりつかれたとしたら、彼の幸福な人生経験は最悪な経験に凍りついてしまうだろう。

なぜなら小説を書くには、イジメ、登校拒否、両親の離婚などの不幸な経験が正に至福の経験へと昇華されるからだ。

相場とは本来実業の世界から締め出された人々が、その恨みを込めて孤独な戦いを挑む、ルサンチマンの戦場なのだ。

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