定年後

「定年後」(中公新書、著;楠木新)を読んだ。そのものズバリ定年後のことが書かれているのだが、なかなか面白かった。

日本の男性が会社を辞めた途端に、引篭もりになってしまうというのは納得だ。

私も40歳の時、1年間無職だったが、家族以外親しく話をする人がいなかった。

しかし、もともと孤独が好きな性格だからだろうか、孤独だとは思わなかった。

それよりも問題だったのがやることがないことだった。明日何をすればいいのか分からないことが、一番つらかった。

この本にも書かれているが、退職後やることがなくて、みな困っているようだ。

私の場合は職業訓練校で溶接をする目的で会社を辞め、10月頃受けた職業訓練校の試験に受かり、次の年の4月から訓練生として半年間溶接の技能訓練をやるとが決まっていた。

辛い無職時代も、あと数か月の我慢だと思うことで乗り越えることができた。

株トレードという、やることがあったのもよかった。

「相場のみで生きていけるか」という実験も会社を辞めた理由であった。2009年の上昇相場で通常の年よりも2倍の利益をだし、これなら専業トレーダーで生きていけるのではないかと思い退職を決意した。

しかし無職となり、いざ株トレードをすると、時間を持て余していたためか、無用に仕掛けることがよくあった。そして無職というプレッシャーからか、少しでも含み益が出るとすぐに利益確定してしまった。

そのため売買手数料ばかり増えて、利益はそれほど上がらなかった。

2010年が保ち合い相場の続いた、私にとって地合いの悪い年だったというのもあったかもしれない。

さらにマクドナルドで株のトレードをやっている合間に、図書館で借りた本を読んだり、YOUTUBEをみたりもした。

ブログの更新も毎日していたし(このブログは3代目)、娘たちに武道も教えていた。

結構いろいろやっていたが、それでも自由時間を持て余してしまっていた。

「自由時間」を決して侮ってはならない。

死から逆算した生き方も納得だ。45歳で再び会社を辞めた時のことだ。

平均寿命から年齢を引いた数字を見て、愕然としたことがある。

80歳 - 45歳 = 35歳

私の余命は35年となる。

さらに健康寿命から年齢を引いた数字を見て、焦りを感じた。

71歳 ー 45歳 = 26歳

私が自分の足で自由に歩き回れるのは、残り26年間となる。「え!こんなに少ないの、嫌いな仕事なんかしてる場合ではない。とっと会社を辞めて好きなことをしなくちゃ!」と改めて会社を辞めることを決意した。

最後にこの本では定年後は「いい顔になる」自分であるよう努めるべきだと締めくくっている。

自分の好きを追及して得たことと、社会のニーズを上手に結びつけることがきたならば、自分も嬉しいし、他人も喜んでくれる。

そういう定年後をおくれればいいのではということだった。

是非、読まれることをお薦めする。

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