相場は技能

相場は最も自然に反したことを行わなければならない。

心理的に心地よいものはほとんどの場合、間違ったアプローチである。逆に心理的に受け入れがたいものであれば、それが正しい確率は極めて高い。

この矛盾が相場の技能を習得することを難しくしている。不幸なことに人間的な感情を持っていることが、この逆説に満ちた相場というゲームの克服を困難にしている。

しかし苦痛と快感、勝利と敗北といった無数の経験によって相場師の思考回路は逆の感じ方をするように訓練されていく。新たな神経回路、感じ方が構築されていくのだ。

そして徐々に今まで心理的に受け入れがたいものが、当たり前のこととして受け入れられるようになる。

そうなるまで日々地道な訓練を積まなければならない。

私がした、相場の訓練は師匠から教わったシミュレーションだ。

具体的に言うと、10日移動平均線を使ってのスウィングトレード。

例えば上昇トレンド時、10日移動平均線を下から上に突き抜けたら買いで仕掛け、適当な位置にストップロスの逆指値を設定し、どこまでもついて行く。

下降トレンドならその逆をする。

私は実際の株トレードと共に、このシミュレーションを5年間一日も欠かさず行ってきた。

名著「ゾーン相場心理学入門」(マーク・ダグラス著、パンローリング)でいうところの、リスクを許容する術を習得するためだ。

このシミュレーションのおかげで、実際の売買ではほぼ毎年利益を上げることができた。

師匠はよく習い事は、正しい努力を継続して行うことだと言っていた。正しい知識を身に付け、正しいことを繰り返し行い、体に覚えさせる。そして何年も、何十年も同じことを繰り返し少しづつ深化させる。

一種の技能職だ。

私の仕事は溶接だが、溶接も同じだ。

私は職業訓練校で2年間、半自動溶接、アルゴン溶接、アルミニウム溶接などの各種溶接の基礎を学び、何度も訓練を繰り返してきた。

溶接関連の会社に就職し、取引先に製品を納められるくらいの技能を習得するために、仕事の時間とは別に練習をした。

より良い製品を作るために、何度も何度も同じことを繰り返した。

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